アルタイル*キミと見上げた空【完】


あ・・・・。


「サキちゃん」

「いま、汐さんの姿が見えたから、走ってきたの・・・・・・ね、それ本当?」


バッグを持つサキちゃんの指先が少し震えてるのが見えて、言葉をつなぐことが出来ない。


「修兄と別れる、って、それ本当なの!?」


「・・・・」


何もいえない私に代わるように凛が口を開く。


「汐からじゃないんだよ。コーチから言ったことなんだよね、ね、汐」


うん・・・・


口にしようとした時に、サキちゃんが叫んだ。


「そんなの・・・そんなの、ウソに決まってるじゃない!修兄は、汐さんが好きなんだよ?好きで好きで・・・・なのに、どうして?」


サキちゃんの瞳から涙がぽろぽろとこぼれ、声はつぶやきへと変わった。


「どうして?・・・・どうして、凱なの?汐さん、ズルイよ・・・ズルイよ・・・・」


何度も繰り返される言葉が、胸を突き刺していく。


その通りだから・・・


ごめんね。ごめんね、サキちゃん。


ずるいんだよ。


私は、ズルイ。


けれど、どうしても凱なの。


凱だってことに、やっと気がついたの。


ごめんね。


ごめん・・・・・・。