あ・・・・。
「サキちゃん」
「いま、汐さんの姿が見えたから、走ってきたの・・・・・・ね、それ本当?」
バッグを持つサキちゃんの指先が少し震えてるのが見えて、言葉をつなぐことが出来ない。
「修兄と別れる、って、それ本当なの!?」
「・・・・」
何もいえない私に代わるように凛が口を開く。
「汐からじゃないんだよ。コーチから言ったことなんだよね、ね、汐」
うん・・・・
口にしようとした時に、サキちゃんが叫んだ。
「そんなの・・・そんなの、ウソに決まってるじゃない!修兄は、汐さんが好きなんだよ?好きで好きで・・・・なのに、どうして?」
サキちゃんの瞳から涙がぽろぽろとこぼれ、声はつぶやきへと変わった。
「どうして?・・・・どうして、凱なの?汐さん、ズルイよ・・・ズルイよ・・・・」
何度も繰り返される言葉が、胸を突き刺していく。
その通りだから・・・
ごめんね。ごめんね、サキちゃん。
ずるいんだよ。
私は、ズルイ。
けれど、どうしても凱なの。
凱だってことに、やっと気がついたの。
ごめんね。
ごめん・・・・・・。

