離れる凱の口元が、
ヤバい
とつぶやいたように見えた。
「これ以上は、今は無理」
「凱?」
「押し倒したくなる」
「は?…ちょ、ちょっと…」
あわてて軽く身をよじると、凱はうつむいて大きく息を吐いた。
「冗談だよ。でも……本当に…もう離したくない」
「凱……」
そうやって顔をあげた凱の表情は、どこか切なげで、思わず胸がドクンとひとはねした。
駄目だ。
この瞳に見つめられると、何も考えられなくなっちゃう。
多分…私たちの前にあるいろんな問題も、
乗り越えなきゃいけない壁も、
何もかも、放り出してこのまま凱と一緒にいたいよ。
そして……きっと凱も同じことを考えてる。
だから、私たちは…

