アルタイル*キミと見上げた空【完】



凱はサキちゃんの気持ち全然気づいてない?



「凱?」


「ん?」


「本当にサキちゃん、他の人にも“あいさつ”してるの?」


「あ…あぁ、本人があっけらかんとそう言ってるからさ」


「そう……」


「けど……そんなの見たら嫌だよな。俺これからはそんなことしないから……向こうに帰っても絶対しない。これからは……」


顔を傾ける凱の唇から低いつぶやきが漏れて、


私は反射のように少し唇を開いた。


受け入れる柔らかくて甘い感触に、頭の芯がじんじんとしびれていく。



凱……


今は何も考えたくない、というか考えられない。


重なる唇に、


漏れる吐息に、


私の思考力はがくんとその力を落としてしまうから。



頭の片隅に生まれる、もうひとつの引っ掛かりをごまかすように


私たちはただその甘美な感覚を求め続けた。