そう言って凱は体を起こし、指先で私の頬に触れた。
「食事」
「・・・・?」
「俺、なるべく自分で食事作ろうとしてんだ」
そうして、私の目をまっすぐに捉えた凱の瞳は優しく微笑んだ。
「いつも・・・お前の言葉があったんだ。食事は全ての基本だから、って」
あ・・・・。
思い出が蘇ってくる。
凱の美味しそうな顔。
それを見るだけで私もおなかいっぱいになるくらい幸せな気持ちをもらってたね。
「だから・・・・汐のおかげなんだ。食事に気をつかうようになってからさ、向こうのコーチにも誉められることが多くなったような気がする」
「ん・・・・」
「あの時お前が行ってた夢の行方は変わっても仕方がないけど、少なくともお前のお陰で夢を見続けていられる奴がいるって・・・・汐?」

