「じゃぁ・・・後は凛、お願いね。足りないものは今のところないと思うけど、テーピングは本番までには少し補充しないといけないかも・・・あとは・・・・・・・」
「汐っ!」
叫ぶ凛の横で、私は体育館にいる皆に向かってひとつ礼をした。
「みんな、ごめんなさい。こんな時期にこんなこと・・・本番頑張ってね」
体育館を出るときにもうひとつ礼をしてから扉を閉める。
本当は泣きそうだった。
けれど、ほとんどウソばかりだったあの記事の中で、唯一の事実が私を苦しめる。
そして、それがバスケチームのメンバーを苦しめることになるなら、
練習や試合に支障の出ることなら、私はそれを取り除かないといけないと思うから。
今の私には、それくらいしか思いつかないから。

