「あの・・・ちょっと、いいかな」
かけられた言葉に振り向くと、メンバーの男の子で。
「はい?」
「あのさ・・・・」
言いにくそうにきゅっと唇を結んでから、彼は私を見つめた。
「あれって、本当?」
「え?」
「これ読んだんだけど・・・これって堂島さん、だよね」
手に持ってたのは昨日の雑誌・・・。
「ちょっと、やめなさいよ!」
凛がベンチから立ち上がって叫んだ声に、周りで練習を始めてた人たちも手を止めてこちらに集中しているのがわかった。
「修也コーチが・・・その・・・・・アメリカに行かなかったんじゃなくて、行けなかった、って。しかもその原因が・・・堂島さんにあるって」
頭が何かで殴られたような衝撃とともに、目の前がかすんでゆく。
倒れそうになるのを、必死でこらえてベンチに体重を預けた。

