閉じた目から流れる涙を、すーっとなでるように風が通り過ぎていく。 涼しい。 熱を、早く冷ましてほしい。 そして、早く流れの中に戻らないと。 もう少しだけ、こうしていて。 もう少しだけ……。 「汐?」 瞬間に引き戻される。 開けた目の前に現れた凱は怪訝そうに私を見つめていた。 「あ……」 やばいっ! 「お前…何、してんの?」 「え……えっと…」