コンコンッ。 乾いた咳を抑えて、私は体育館の鍵を手に握り締めた。 まだほとんど生徒が歩いていない、朝の学校。 今朝目覚めてから少しからだが重いような気がする。 風邪かな? 首をひねりながら、体育館の扉を開けようとすると、 「あれっ?」 今預かってきたばかりの鍵が、何の手ごたえもなしにするりとまわった。 誰か、もう来てるのかも。 凛かな?