「修也さ~~ん。ちょっと、いいですか?聞きましたよ。今度ある、全日本選抜チームの副コーチになるって」
酔っ払ったトモが修ちゃんに嬉しそうに言うのを聞いて、なぜか凛が慌てて立ち上がり、トモの腕を引っ張った。
「凛?」
トモが酔っ払うと絶対バスケの話になるのはわかってることだし、今もそんな変なこといってるわけじゃ、ないよね?
「なんだよ、凛」
トモが怪訝そうに凛の顔を見ると、凛は何故か少し顔を傾けて「バカ」とつぶやいた。
「あ?・・・・あ~~あ~~~・・・・あ~~・・・・」
トモが何かを察したように大きくうなずいて口を閉じた。
何?
「なんか・・・変だよ?」
いつもよりも・・・変。
「いいよ。二人とも。別に隠してることじゃないし」
そう言って、修ちゃんは私をまっすぐ見つめた。
「俺さ、今度大学の監督の下で全日本選抜チームの副コーチやらせてもらえることになりそうなんだ」
「え?そうなの?すごい!」
「うん。俺もすげー興奮してる」
「そっか~・・・また忙しくなるね」
「あぁ。嬉しい悲鳴だけどな」
修ちゃんの笑顔。
見てるだけで、こっちも嬉しい。
けど・・・
「2人とも、どうしたの?」
そんな私達の会話を目で追ってきょろきょろしながら聞いてるトモも凛も、らしくない、って言ったららしくない。
そんな私の質問に、凛は慌てて次の話題に変えた。
おかしいの・・・。
酔ってるだけ?

