「汐、見てみろよ、あれ」 運転席の修ちゃんが車を路肩に止めて指差したのは、 遠くに見える、花火。 そういえば・・・、 さっきからちらちらと浴衣姿の女の子達を追い越してきたのに気づいた。 「お祭りなのかな」 つぶやくと、修ちゃんは、私を見てにこっと笑った。 「寄ってく?」 「え?いいの?」 途端にぱっと笑顔になった私の頭を修ちゃんは長い手でわしわしとなでる。 「わかりやすすぎ」 「子供だも~~ん」 調子よく幼いふりをできるのは、私のずるいところかも。