「汐・・・・?」
ふいにかけられた自分の名前に思わずびくっと体が反応する。
振り返ると、凱が首をかしげてこちらを見ていた。
「どうかした?」
「あ・・・うん、えっとね・・・・・・」
凱は知ってるんだろうか。
気づいてた?
「凱、あのね・・・・」
ブーブーブー・・・・
ちょうどその時テーブルの上に置かれた凱の携帯が震えた。
「もしもし・・・・うん。うん・・・・わかった。・・・それでいいんだよ・・・」
短い会話の後、閉じられた携帯をテーブルの上に無造作に置いた凱の様子は変わらず。
「誰・・・から?」
「あ・・・トモから。で、俺の処分が決まったって。停学1週間」
「え・・・・?」
「そんな顔すんな。退学はないんだし・・・・俺が望んだことだから」
「でも・・・・っ、凱は何も悪くないのにっ!」
「・・・・・・」
「納得できないよ。私・・・・もういちど学校に戻るよ。そして説明する!」
「汐っ」
玄関に向きかけた私の腕は、凱の強い力で引っ張られた。

