瞬間。 指先に押されたそのスコアブックが不意に崩れて来て、私は思わず目を閉じた。 ……? バサバサッ、と落ちる音が聞こえるはずなのに、全く聞こえない。 誰かが背後にいる気配がしてそっと目を開けた。 ……心の中では、思ってた。 前にもあったよね、って。 本当、ドジで嫌になるよね、って。 私の後ろにいるのは、凱だと直感でそう思ったのに…。 「が…い?」 彼の名前を呼びながらふりむくと…… 「誰……ですか?」 全く知らない男の子がスコアブックを持ってにこっと微笑んでいた。