「お前を守るためだったら、何でもするよ。もし、汐のそばに他の奴がいて、そいつがお前を幸せにしてくれるんだったら、俺はそれでもいい、って思った。お前が笑ってるんだったらそれでいい、って思ったんだ」
「凱」
「けど・・・・・・泣いてるお前見てたら、たまらなくなった。何度も何度も我慢したけど、とまらなかった。・・・やっぱガキだな、俺」
凱はそう言って、ふっと笑った。
「ホントは、誰にも渡したくないのに・・・」
彼の手が、私の頬を包んだ。
あったかい・・・。
「・・・凱、私・・・・」
そばにいていい?
その言葉は、唇に触れた凱の親指で途切れた。
「俺が、これからずっとお前のそばにいるから・・・」
彼のかすれた声と共に、近づいた唇に私は再び目を閉じた。
『私がずっとそばにいるよ』
あの頃の私の言葉が、頭の中で聞こえたような気がした。
凱・・・
これからは、どんなことがあっても、ずっとずっとそばにいるから。
だいすきだよ、凱。

