凱は、私の涙を親指で拭うと、
「ごめんな・・・」
とつぶやいた。
え?
「さっき・・・・・・ひどいこと言って、ごめんな」
ううん。
顔を横に振って見せた。
・・・でも・・・・・・
「凱のバカ・・・」
「は?」
「そうやって、ずーっとずーっと私を守ってくれてたの?・・・言わないとわかんないよ・・・・・」
凱は驚いた表情をして私を見つめてから、唇をかんで上を見上げた。
「小学生の時も・・・・今も・・・・・気づかなくて、私の方こそ・・・ごめんね」
「・・・・サオリとはさっき話をしたんだ。俺、全然ガキだからさ、こんなやり方しか出来なくて、結局周りの人を傷つけてる」
言葉をつなげる凱の頬に、私の手が触れると、彼はようやく視線を私に落とした。

