監督の視線をたどると、そこに揺れてるのはあのキーホルダー。
小さくて丸いせいか、すぐにカバンから落ちてしまうそのキーホルダーを私は今だけカバンの取っ手につけていたんだ。
「これ・・・・どうしたんだい?」
キーホルダーに手を伸ばす監督の指が小刻みに震えてる。
・・・・・?
「さっき・・・凱・・・にもらったんです」
「触らせてもらっていいかな?」
「え、えぇ・・・・」
私は取っ手から外して、監督に小さなバスケットボールを手渡した。
「これだ・・・間違いない。あいつ・・・まだ持ってたのか・・・・」
つぶやく監督に、私は首をかしげた。
「あの~・・・?」
しばらくの間の後、監督が涙を浮かべながら話をしてくれた。

