「行こう?汐」
そうやって修ちゃんは先に立って歩き出したけど…
「……汐?」
止まったままの私に、修ちゃんは怪訝そうに振り返った。
「私…自分で帰るから」
「え?」
「こんな風に甘え続けちゃいけないんだよ。期待……もたせるようなこと、しちゃいけないんだよ…?修ちゃん、本当にごめんね」
そう言って修ちゃんの横を通り抜け走り出した私の後を、修ちゃんは追い掛けて来なかった。
最後…修ちゃんがみせた悲しそうな顔を、私はいつの日にか忘れることはできるのだろうか。
出来なくてもいい。
ううん。
忘れるべきではないんだ。
自分がしたことも含めてちゃんと覚えておこう。
頬の涙を拭って、私は顔を上げた。
さあ、行こう。

