「汐、なんか聞いてる?」 「う、ううん。何にも・・・」 もちろん修ちゃんから何かを聞いてるわけでもなくて、私はただただこの光景にまさにあんぐり状態なわけで。 そんな私達を横目に、サオリさんは腕を凱に絡ませたまま 「帰ろ?凱くんっ」 なんて・・・・。 そんな凱も別に嫌がる様子もなく、いつもどおりに「おっす」なんていって帰って行っちゃうし・・・・ 「凱!」 思わず叫んだ私の声に、ただひらひらと後ろ手に振って凱は振り返りもせずにドアの向こうに消えてしまったんだ。