「俺らさ、汐ちゃんの試合見てんだ」
え?
タイチさんの言葉に頭が軽く混乱する。
試合?
「中学生の時じゃないかな。汐ちゃん、出てたでしょ?多分最後の大会で」
うん。
だけど、その頃痛めてた腰のせいで、試合にはほとんど出られなかったんだ。
出れたのは、本当に最後の試合。
瞬間、最後のホイッスルが鳴った音と、飛んでいくボールが頭の中に鮮やかに蘇る。
・・・苦い思い出だ。
「あれ、俺ら見てたんだ。で、こいつが・・・うわっ」
タイチさんの言葉は、砂浜に倒されて聞こえなくなった。
「言うな、って」
修ちゃん・・・。

