『汐、俺はお前が・・・』 あの夏の日の男の子の声が、一瞬頭に浮かんだ気がしたけど、 今重ねられた手がすごく暖かくて、 嬉しくて・・・ 「ううん。私も・・・好き、だよ」 って周りに聞こえないように小さく答えたんだ。 「よっしゃ!」 って反対の手でガッツポーズをした彼の声は一瞬周りのお客さんの注目を集めて、 私達は顔を見合わせてくすくすと笑ったね。 その時、軽く触れた唇の感触に気づいた時に、 「栗原さん」は「私の彼氏、修ちゃん」になったんだ。