凱が私の歩く速度にあわせてゆっくり前を歩いていく。 もう岩場は過ぎてるのに、なぜか手はつないだままだった。 凱の手。 あたたかくて、気持ちがいい。 「凱・・・」 「ん?」 私の方を見ないまま歩く凱の大きな背中を見つめた。 「あの時、なんて言ったの?」 「・・・ん?」 「あの時・・・体育館で・・・・・・」 「・・・・・・」 凱は何も言わずに急に立ち止まった。 うつむいてた私は彼の背中にぶつかりそうになって、ようやく上を見上げた。 「凱?」 「俺は・・・・・・」