キス屋


「ばっ...何で俺が!!!
 適当な言いがかりはよせ!」


「適当じゃない。ちゃんと見たんだ。」


かっこいい男性は、
低く落ち着いた声で言った。
それが逆に怖く感じた。


あたしはどうしたら良いのか
分からず、泣きそうになった。



「あの...あたし、触られました」



あたしが震えた小声で
そう証言すると、
男は舌打ちをして
別車両へ逃走しようとした。


「待て!」


すると周囲の話を聞いてた人が
一斉に男を追いかけたため、
男は一瞬にして捕えられた。



「この駅で降ろせ!!」



丁度良く停車したので、
男と、男を捕えてる人と
かっこいい男性とあたしは
電車から降りた。