人工の青い空を見つめているのか、

嘘くさい天国を見つめているのか、

サクラは窓の外へ視線を向けていた。

アオはサクラをじっと見ている。

男くささのない男だと思っていた。

誰しもがわずかであれ持っているはずの、

汗の混じった体臭がサクラには感じられない。

アオはサクラの部屋に行ったことはなかったが、

それでもわかる。

生活感のない部屋に違いない。


「なぁ、サクラ」


なんだかひどく寂しかった。

サクラが一人で行ってしまいそうな気がした。

どこへだとかはわからない。

ただ一人で行ってしまいそうな気がする。

サクラはゆっくり振り向いた。

それからアオを見て、ニと口元をゆるませる。