つかまえるためにすべての神経をそちらに向けた。



おいで。

おいで。

こっちへ。

お前と俺の会話をしよう。



「思い出なんて
一枚しかない紙幣と同じさ。
希少価値はあっても、
使用価値なんかない」



つぶやきががらんとした部屋に響き。


戻ってきたときには俺の声ではなくなっていた。