狂者の正しい愛し方



「寝癖、取れないな。」


「ね、寝癖?」


ああ、そう言えば朝起きてから手櫛しかやらなかったからなぁ…。

影とかで確認しても変じゃないように見えたけど、やっぱり佐薙さんは気になったらしい。


「珍しい。佐薙さんが私の身だしなみ直すなんて。」

「晴姫が鏡見て直さなくても良いように。
さっき歩いたときの風で、寝癖が三倍くらいになってるから。」


そ れ を 早 く 言 え !!!

ちょっとキュンとしちゃった私は馬鹿なのか!?
馬鹿公認なのか!?


……でもまあ、優しい手付きで梳かれるのはそれなりに心地良いから、

色々文句は言いたいけれど、今は黙って佐薙さんの好きなようにさせることにした。



苦いコーヒーは、やっぱり少し苦かった。