狂者の正しい愛し方



人肉……じゃなかった、鶏肉が入ったサンドイッチと、体液色のオレンジジュースをテーブルに置き、そっと佐薙さんに押し付ける。

またも佐薙さんは何も食べず、口にしたものと言えばSサイズのアイスコーヒーくらい。
もっと食べないとヒョロくなって倒れちゃいますよ、なんて言っても笑って誤魔化すから、こうして私の分を食べてもらっている。

所謂、始末係だ。
この上なく聞こえ悪いな。


「でもまあ、晴姫が楽しんでくれたようで、良かった。」


まだ手を付けてないほうじゃなく、私の食べかけを歯型のある部分から食べ始める佐薙さん。

これに対して怒っても、不毛な会話が続くだけだろうから黙っておくけどさ。


ジュースの代わりに、私は飲みかけのアイスコーヒーを貰うことにした。

中をよく確認せずにストローを吸ったら、口の中に広がったのはコーヒー豆のダイレクトな苦い味。


「苦党かこのやろう!!」

「ああ、ごめん晴姫!すぐにミルクとガムシロップを貰って……、」

「いや、いいけどね!?
別に気にしないけど!!」