チケットによると、私達の席は一番後ろ。
人気作だから席が埋まっちゃうのは仕方ないけど、一番後ろとか……。
前に身長2m越えの人とか座っちゃったらどう鑑賞しろと?
あ、有り得ないか。
「晴姫、おいで。」
「え? あ、いいんですか?」
それを察してか、佐薙さんのとってくれた行動はなんとも感激だった。
シートに深く腰掛けて、その膝を指差す。
つまりは、私に膝の上に乗れと言っている。
普段なら「そんな子供っぽいことしない!」と断るけど、今は事情が違うのだ事情が。
上映間近で照明が暗くなってきた頃を見計らって、私は素早く佐薙さんの膝の上に映る。
思った通り、膝の上に座ると目の前の人の頭はぎりぎりスクリーンには被らなかった。
「佐薙さんは大丈夫?見えます?」



