―――
「やりましたね佐薙さん!
この映画結構人気あるから、もっと早くこないとチケット取れないと思ってたのに!」
手の中にある薄ピンク色の映画チケットに頬擦りをし、私は小さい子供のように喜びまくった。
前にCMで見てからずっと観たかった映画。
ロマンス物だけど、題材はなんとも珍しいもの。
「晴姫、本当にこれで良かったのか?」
「どうして?」
「これの題材は、“精神を病んだ男と正常な女の恋物語”なんだろう?
低いがR指定もかけられているし、そういう描写があるってことだ。
晴姫、耐えられるか?」
あれま、佐薙さんなのに鈍いことで。
例え私が厭きようとも気分悪くなろうとも、どうしてもこの映画を観たかった理由が分からないなんて。



