唇は暫く重なっていた。 どちらともなく離すまで、触れるだけのキスは続いて、 離したときに見えた佐薙さんの顔は、 とても寂しそうだった。 「……晴姫。悩み、あるだろ。 俺には言えないこと?」 「え、なんで……?」 「晴姫、笑ってない。」 ……痛いとこを突かれた。 私結構、表情とか作るの上手いほうだと思ってたんだけどな…。 「ご両親のことか?」 またも当たり。 「そんなわけないですよー。」 私の口から嘘が出た。