狂者の正しい愛し方



―――


「佐薙さん過保護って言うか、ストーカー染みたとこあるからなぁ…。
散歩するのも一苦労だよまったくもう…。」


盗聴機が付いていないのを確認すると、私はほっと胸を撫で下ろす。


私が佐薙さんに出した条件は、

“一日に一度、たった一人になる時間が欲しい”


朝から晩まで二人っきりで家にいて、延々と愛の言葉を囁かれるなんて、常人なら我慢できなくて当然。

疎ましく思っても仕方ない。

嫌気が差すときもあるだろう。


病まない限り、それに喜びを感じ続けるなんて無理な話。

だって私は常人なのだから。