狂者の正しい愛し方




『………あ…。』


佐薙さんと目が合った。



途端、曇っていた瞳に、みるみる光が宿っていくのが見えた。


青白く見えた顔がほんのりと赤くなって、



佐薙さんは、生き別れた母親に再会した子供のように、安心しきった表情をした。


『……晴、姫………。』


か細い声で名前を呼ばれて、

その長い手を伸ばされる。


私を抱きしめたいように見えた。



今更断る理由なんか、ないね。