玄関横に座り込んで、膝に顔を埋めたまま動かない。 横の髪がやや長いから、表情も分からない。 二日ぶりに見る、私の大好きな人が、そこにいた。 『……佐薙、さん。』 名前を呼ぶ。 佐薙さんの肩がぴくりと揺れて、頭が、ゆっくりともたげられた。 顔色が、よくなかった。 頬にはうっすらと涙の跡もあったし、瞳は曇っている。 『佐薙さん。』 もう一度呼んでみる。