狂者の正しい愛し方




『……っ!』



何も考えなかったけど、気がつけば玄関扉を開いていた。


静かな住宅街に、鳥の声とバイクの微かな音だけが響く。


そして、私はゆっくりと視線を下ろした。



玄関横に、黒いものが見えた。


それは、衣服だと分かった。

それが着られているのは、人の四肢だと分かった。


それは、佐薙さんだというのが分かった。