狂者の正しい愛し方



―――


「今更だけどシャツも着替えちゃお。
せっかく佐薙さん紹介するんだもんね。少しくらい綺麗にしなきゃ。」


鞄を、服が散乱するベッドの上に抛り、私はその場でTシャツを脱ぎ始めた。


……いつも思うけど、私の部屋って汚いなあ。

一応年頃の女の子なんだし、少しくらい片付けないとなあ。
この前片付けたばっかりなんだけどなあ……。


机の本棚にはまともに教科書は収まっていない。
ほとんどが床に散らばっていて、ハサミやカッターなんかも、刃が出たまま床の上に。

タンスは引き出しが丸ごと取り出され逆さまになり、中身はあちこちに散らかっている。

部屋の大きな鏡は、何かが当たった拍子に鏡面が割れてしまい、破片が今も床にある。
片付けようにも、危ないからなかなか手が出せない。


ベッドの上には、いつだか引き千切れてしまったカーテンが未だそのまま残っていて、白いレースだけになってしまった窓辺には置き場所に困った、四角い箱が置かれている。

中身、なんだったろう?