とん、とん、とん…… 一歩一歩、確実に晴姫が階段を上っていく。 その後ろ姿がとても小さくてとても愛しくて、今にも階段を駆け上がって抱きすくめてしまいたいくらいだ。 これまで俺が、晴姫の仕草ひとつひとつに衝動を覚えた数など、数え始めたらきりがない。 それは愛情にしろ欲情にしろ、俺が晴姫を愛してるという証明になる。 ……抱き締めたい、が、今は他にやることがある。 晴姫を置いて、どうしても果たさなければならないことだ。 ……それこそ、愛しい晴姫と、いつまでも寄り添い続けるために。