狂者の正しい愛し方




母親が、押し黙ってしまった。

言い分を信用した…わけではないだろう。きっと。
まだ疑っているに違いない。それか、どれほど下劣な想像を巡らせているのか。

その沈黙を塗り潰すように、俺は饒舌に話し出した。


「今まで散々晴姫を独りにしておいて、こういう時だけ親権を振り翳すんですね。
あの暗く孤独な空間に、また晴姫を引き摺り込むおつもりで?

貴女方にどんな言い分があるのかは、さして興味ありませんが、これだけは言わせていただきたい。」


一息置き、体中隅々の空気を一点に集め、誓うように、または、祈るように口にした。




「俺は貴女方より、晴姫を愛しています。」