狂者の正しい愛し方



「ええ、そうです。
晴姫はとても素晴らしい女性ですね。
そんな彼女と交際させていただいて俺は……、」

《人の娘を気安く呼ばないで……!!》


まだ最後まで言っていないのに。
これだから堪え性のない人間は……。
本当に晴姫の親なのか?

人の気も知らず、母親は続ける。
言葉のいちいちにトゲが目立つ。


《何なの、貴方は……。家の電話にあんなに着信履歴残したり……、毎晩遅くまでうちの娘連れ出したりして……!》


ああ、履歴か。なるほど。
それで俺のケータイ番号調べたのか。

ただ、「連れ出して」とは失礼だな。


「いえ、俺はただ、晴姫に少しでも良い思いをさせてあげようとしたまでです。」