ピッ
「もしもし。初めましてですね。……“お義母さん”。」
この時間、このケータイにかかってくるこの着信と言ったら、相手は二人しか思い浮かばない。
“晴姫の自宅”
つまり、晴姫のご両親のどちらか。
晴姫が外出する際にいたのは、母親のほう。だから、この着信も母親だろうと確信した。
……済まない、晴姫……。
晴姫のことがどうしても心配で、無断で鞄に盗聴器を仕掛けてしまった。
晴姫が以前“お気に入り”と言っていた鞄に付けるのさえ、俺には心苦しかったんだ。……嫉妬で。
《……あ、貴方……、晴姫の言ってた、恋人ね……?》
ほら、やっぱりだ。晴姫の母親。
それを“お義母さん”と呼ぶのでさえ、吐き気がした。



