早苗さんはにっこりと笑うと、俺を見た。
分かってるとでも言いたげだ。
「でも遊び行っちゃおうかなぁ。ほら、康平の本命の子も見たいし……」
「南都美はイギリスに旅立ったってば」
「違うわよ、えっと……なんだっけ」
早苗さんは言いながら写真をめくっていく。
「あ、この子は? あとこの子身長あるなら結構いいんじゃない?」
早苗さんによって、売れそう男子6名ほど間引きされた。
「この子とか、賢そうで良いわ」
早苗さんの長い爪が黒沢を突き刺す。
「こいつ俺の親友ね。メッチャ切れる男だよ」
「康平の親友? いるんだそんなの」
「うわっ何その発言、俺友達多いよ」
「康平はとっかえひっかえだから、男にも女にも恨まれてると思ってたわ」
「こいつはそういうこと、気にしないから」
「ちゃんと康平のイイトコロ、見てくれてるのね」
早苗さんが妖艶に微笑む。
赤いルージュが薄まっていても、こんなに艶やかなのはなんでなんだろう。
「ねぇ早苗さん」
「なーに?」
「スーツ借りてイイ? 早苗さんの男の」
「持ってないの? 康平」
早苗さんはオムライスの乗ったスプーンを片手にきょとんとした。
「安っぽいのならあったけど。姉貴がタバコ落として穴開いた」
「鈴ちゃんねー 相変わらずなんだね」


