√番外編作品集

ぽかんとしてしまった俺と山岡ちゃんの間に、生ぬるい風が走る。

「えっと……ジャッジしてもらうとしてどっちが悪い?」

「私にさせるなんて河田くんもひどいけど、うん、河田くんがちょっと悪いかも」

あ、俺また地雷?

あぁ、そうだな。黒沢絡みのことで山岡ちゃんにフォロー入れさせるのは酷だよな。

「……あれ、潤からもらったものだったんだね」

山岡ちゃんは手元にあった飲み物を口にしてふと息を吐いた。

「いいなぁ……羨ましいなぁ……」

その言葉に、やっと俺は自分がひどいことをしたと思った。

「ごめん……なんか、俺」

「うぅん、私だって潤からもらったら嬉しくて舞い上がっちゃうし。敦子はいままで私に言ってくることなかったし、たまたま、こういうタイミングだっただけで……」

山岡ちゃんは指で額のあたりをかるく掻いて笑った。

「でも、敦子の言ってることは女の子からしたら正しいよ。何かもらえればそれは嬉しいけど、自分が欲しいって思ってたものとか、そういうの贈ってもらえるのはもっと嬉しいから」

「そ、そーかな……女子ってなんか次々好きなもんができるし……」

「でもその次々の中にも変わらなく欲しいものがあるんだよ」

例えば、黒沢本体?

思い描いてみたが、なんだかピンと来なかった。

いやいや、そんなことより黒沢がティファニーへ行ったということの方が不気味すぎる。

「さぁ!準備行こう。今日は午後から文化祭の準備だよ!」

山岡ちゃんは笑顔を作って、俺の肩をポンと叩いた。