山岡ちゃんの膝の上のお弁当箱にある、厚焼き卵をもらいながら、女子の方で進んでいたメニューを見せてもらう。
最近山岡ちゃんは、お昼になるといつも屋上で1人ご飯を食べてる。
いじめられてるのかと思ったけど
そういう訳じゃないらしい。
南都美とケンカしたときも屋上でご飯を食べていた。
「男子はどうするの?」
「え? スーツだよ、スーツ。誰だって持ってるからここは安上がりだよなぁ」
「ねぇ、ホストってみんなスーツなの?」
「俺の知り合いはスーツ多いけどね? ブランドもののさ、あんまり仕事については細かく聞かないから分からない」
キャバクラ嬢ならイロイロ知ってるんだけどね。
「そっか、河田くんは似合いそうだよね」
俺ホストっぽいってこと?
そうなのか……
「違うよ。スーツとか似合いそうってことだよ。だって河田くんは……繊細だから、あぁいう仕事は向かなそう」
山岡ちゃんの視線がお弁当箱に移る。
音もなくスコッチエッッグを挟むと、ゆっくりと口へ移した。
「河田君は獣医とか向いてそうだよ」
手にしていたメニュー表から、山岡ちゃんへ視線を投げる。
「お姉さんから聞いたよ。河田君動物スキなんでしょ?」
「あいつロクでもないこと……」
まさか俺が、路地裏で猫飼ってることまでバラしたんじゃないだろうな。


