√番外編作品集

「そうだよ、お前、なんかしらねーけど、人気あるんだから、ほら、D組の飯島とか」

周囲が後押しする。

「二条西の特進って言ったらそこらの高校からすれば絶対ねらい目なんだ、みんな、彼女作るチャンスだぞ」

「塾じゃなかなか、そんな話してるヒマねぇしなー」

話がどんどん盛り上がっていく。

立幸館高校の女の子たちが、二条西の文化祭で彼氏捜しをするというのは暗黙のうちに広まっている習慣だ。

実際、俺の先輩も文化祭で他校の彼女をゲットした。

どう考えてもウチのクラスはおいしい奴らの集まりなんだ。

理系秀才の集まりだぜ? 俺含め。

「彼女いないやつ、挙手!」

俺の号令に、その場にいた男子の7割が手を挙げる。

「いいか、文化祭では、脱・ガリ勉数学オタクだ。がっちり女子囲い込むからな!」


一致団結。



黒沢をはじめ、彼女持ちのデキルくんたちを一部除いて。


企画書は無事通る。

山岡ちゃんの申請の仕方がとてもよかったんだと思う。

男子喫茶という字は小さく。

内容はとても細かく。

"数学をモチーフにした飲食模擬店"

学生くささが漂う、本来の文化祭らしさがそこにはあった。