「おい、河田、そのふざけた髪もそうだけど、頭もどうにかしろ」

小テスト返却のHR中に名指しで攻撃される。

芸術の秋なんだから、髪の色くらいいいじゃん。


小テストは62点。

平均点は86点だった。


「先生、俺ブロークンハートなんスよ、分かる? 失恋です」

「北川の選択は正しいぞ。お前みたいなアホと付き合ってたくないだろ。この甘栗頭」

「甘栗違うって」

地団駄踏むが、笑われるだけで真意は誰にも伝わらない。

「でも河田のその頭は、文化祭向けの気合いなんだろ?」

後ろの席からかかった言葉に、担任はあ、と思い出したように顔を上げた。

「そうだ、テスト返したら文化祭の話もするからな」

担任はてきぱきと小テストを返し終えると、椅子に深く座り直した。

「例年特進は文化祭の参加は参加・不参加自由だが、どーすっかね」

「俺面倒だし、やりたくない」

「来年は絶対不参加だし、今年くらい参加したくない?」

担任の言葉に、クラス中が囁き出す。