「ま、正解だな」

「何が」

「ちゃんと自分のしたいことを選んだ訳だろ。北川は」

「そうだよ、南都美はそういう女だよ!」

「お前、怒ってるんだか喜んでるんだかよく分からない」

黒沢の言ってる両方なんだよ。


南都美の決断力に正直驚きはあった。

だけど俺に一番に相談してくれたし、南都美の未来の夢とか俺の夢とか高校生らしい超・有意義な時間を過ごせた。

だから、悲しいけど嬉しくて

それだけうち解けた南都美と別れるのは嫌だと思えるようになっていたし

ちゃんと南都美に対して、愛情と言い切れるものも生まれていたのだ。


だけどな、やっぱな





捨てられるみたいで





嫌じゃん。


「……両方」

「ま、心中複雑だろうな」

俺には関係ないけど、と言いたげな黒沢の態度を他所に、ため息をついた。