「この前、お前早苗さんがどうこうって言ってなかったか」

「あ、ちなみにこのクラスだったら山岡ちゃんが一押しですけど~」

「あー、もう席戻れ。だれかちゃんとA組の北川にチクっとけよ」

笑いの波の中を席に戻る。

「この前もお前、北川さんと揉めて足蹴りくらってだだろ」

岸三田がヤジを投げる。

「まぁね、モテちゃって困っちゃう」

「わー腐っちまえ、こいつー」

笑い声の中に、山岡ちゃんの笑顔を発見する。

視線が合って、俺がにこっと笑うと、山岡ちゃんも笑い返してくれた。

溢れる笑いの中席につくと

黒沢が俺に手を出してノートの返却を無言で求めてくる。

ポン、とバトンタッチすると、黒沢は少し楽しそうに笑って肩越しに俺を見た。




「で? 別れたんだって? "千尋"と」




俺はにっこりと微笑み返して、黒沢にウィンクした。

「興味ないくせに情報早いな、別れたよ?」



END Thank You!