√番外編作品集

 部屋は静かで、何も変わらないままで。

「こんな複雑な三角関係もあるから、人生は困っちゃうけど、生きていかないとって思えるんだね」

 ──夜通しで心配をかけたお詫びに、夕飯は敦子特製素麺をごちそうしよう。

 茹でて冷やすだけだけど、敦子特製だ。

 千恵も連絡を入れておいたので、すぐ来るだろう。そうしたら一緒に潤の寝顔を堪能するなり、起こすかして素麺を食べながら俊彦のお祝い会の話をするのだ。

 失敗したら勉強大会になるかもしれないけど、そうしたら河田でも呼ぼう。

 それで収拾がつかなくなったら、俊彦を呼べば、うまく収まるに違いない。

 俊彦にとっては困難かもしれないけれど、適役は今彼しかいないのだ。

 部屋の照明を落としたまま、敦子は冷蔵庫へ手をかけて、試験のことなどさっぱり忘れて料理に取りかかった。







『堀口俊彦の困難』 ( Q.E.D )