「ナイスダッシュ」
挨拶代わりに片手をあげた俊彦の表情は、いつもの落ち着いた好青年そのもので、敦子に対して責めるような意図は微塵も感じられなかった。
敦子と朝別れた時、俊彦も理解したのだった。
自分が敦子を好きなことに代わりはないけれど、今は『両思い』には少し遠いことを。
「──ほりぐっちは好き、だけどつきあえない!ゴメンなさい」
電話が前置きであったとはいえ、顔を合わせた途端、息を乱しながら敦子は告げた。
大きな黒い目は、涙に濡れていたあの時よりずっと輝いていて
あぁ、この目だと俊彦は何かに納得していた。
「そうだな。俺もやっぱりつき合えない。黒沢を好きなお前を好きっていうのは本当だけど、でもやっぱり本音じゃないからな。困った感情なんだけどさ……いつか」
俊彦は敦子へ両手を広げると思い切り抱きしめてぎゅっと引き寄せた。
公然でこんなことをする人だったとは思わず敦子は驚いたが、されるままにぎゅっと抱きしめられた。
「いつか……そういうのもどうにかなって、別の形になる日が来るって思うから、今は、お前を好きなだけの堀口俊彦でいい」
「ほりぐっちー、苦しい」
「……」
「とっちゃーん…」
「フジコー逮捕だー」
「……逮捕されたなら、しょうがないか」
敦子が言うと、俊彦は笑った。
「好きなままでいても、大丈夫かな」
「私が潤を追い掛けるみたいなことをするの?……この道は、茨の道なんだぞ、とっちゃん」
敦子の言葉に、俊彦は笑うだけだった。
「それがフジコ攻略の、一番の方法だという気もするんだよな、俺はさ」
K大難関を推薦合格した俊彦の言う事だ、それが正解なのかもしれない。
挨拶代わりに片手をあげた俊彦の表情は、いつもの落ち着いた好青年そのもので、敦子に対して責めるような意図は微塵も感じられなかった。
敦子と朝別れた時、俊彦も理解したのだった。
自分が敦子を好きなことに代わりはないけれど、今は『両思い』には少し遠いことを。
「──ほりぐっちは好き、だけどつきあえない!ゴメンなさい」
電話が前置きであったとはいえ、顔を合わせた途端、息を乱しながら敦子は告げた。
大きな黒い目は、涙に濡れていたあの時よりずっと輝いていて
あぁ、この目だと俊彦は何かに納得していた。
「そうだな。俺もやっぱりつき合えない。黒沢を好きなお前を好きっていうのは本当だけど、でもやっぱり本音じゃないからな。困った感情なんだけどさ……いつか」
俊彦は敦子へ両手を広げると思い切り抱きしめてぎゅっと引き寄せた。
公然でこんなことをする人だったとは思わず敦子は驚いたが、されるままにぎゅっと抱きしめられた。
「いつか……そういうのもどうにかなって、別の形になる日が来るって思うから、今は、お前を好きなだけの堀口俊彦でいい」
「ほりぐっちー、苦しい」
「……」
「とっちゃーん…」
「フジコー逮捕だー」
「……逮捕されたなら、しょうがないか」
敦子が言うと、俊彦は笑った。
「好きなままでいても、大丈夫かな」
「私が潤を追い掛けるみたいなことをするの?……この道は、茨の道なんだぞ、とっちゃん」
敦子の言葉に、俊彦は笑うだけだった。
「それがフジコ攻略の、一番の方法だという気もするんだよな、俺はさ」
K大難関を推薦合格した俊彦の言う事だ、それが正解なのかもしれない。


