「昨日さ、徹夜でカラオケ中に飯島寝ちゃっただろ」
話を切り出す前に、向こうが話出した。
言葉が続かなかった敦子は俊彦に会話の主導権を奪われる。
「お前、寝言で黒沢のこと言ってた。本当に……本当に飯島は黒沢の事が好きなんだな。俺はさ、そういうお前のことが好きなんだけど、考えてみればお前を苦しめるだけだよな」
「そうじゃないよ、そうじゃ……ない」
「飯島は見かけほど強くないし、優しい奴だって分かってて俺はお前に黒沢が好きでもいいから付き合って、なんて言っちゃって、ちょっと正直じゃなかったよ」
そこまで話が流れてくると、敦子も俊彦が言わんとしていることを察した。
だがそれを俊彦から言わせてはダメだ。
それは敦子の中でもはっきりしていた。
「ごめんね! 私はやっぱりほりぐっちが好きだって言ってくれた自分を、これからも貫いていきたい」
外の景色は目に入らない。
敦子は足を止めて、スピーカーに意識を集中した。
「ほりぐっちのことは、好きだよ……だからやっぱり、ダメだって思う。ごめん……ごめんね」
「うん」
それは、溜もなくとても落ち着いた返答だった。
「うん、そうなるなーって、俺も考えてた。俺は飯島のことを一時的に救ったり励ましたりはできるけど、空気のように守るにはまだ到底叶わない。ちょっと──早すぎた気がするから」
「ほりぐっち、今どこにいる? 電話じゃなくてちゃんと会って話したい」
「今南大路の罫文堂だよ」
「行くからちょっと待ってて」
敦子は急いで電車に乗り、堀口の入る南大路の大きな本屋に向かった。
彼は書店入り口で待ってくれていて、息を切らして駆け寄ると、笑ってみせた。
話を切り出す前に、向こうが話出した。
言葉が続かなかった敦子は俊彦に会話の主導権を奪われる。
「お前、寝言で黒沢のこと言ってた。本当に……本当に飯島は黒沢の事が好きなんだな。俺はさ、そういうお前のことが好きなんだけど、考えてみればお前を苦しめるだけだよな」
「そうじゃないよ、そうじゃ……ない」
「飯島は見かけほど強くないし、優しい奴だって分かってて俺はお前に黒沢が好きでもいいから付き合って、なんて言っちゃって、ちょっと正直じゃなかったよ」
そこまで話が流れてくると、敦子も俊彦が言わんとしていることを察した。
だがそれを俊彦から言わせてはダメだ。
それは敦子の中でもはっきりしていた。
「ごめんね! 私はやっぱりほりぐっちが好きだって言ってくれた自分を、これからも貫いていきたい」
外の景色は目に入らない。
敦子は足を止めて、スピーカーに意識を集中した。
「ほりぐっちのことは、好きだよ……だからやっぱり、ダメだって思う。ごめん……ごめんね」
「うん」
それは、溜もなくとても落ち着いた返答だった。
「うん、そうなるなーって、俺も考えてた。俺は飯島のことを一時的に救ったり励ましたりはできるけど、空気のように守るにはまだ到底叶わない。ちょっと──早すぎた気がするから」
「ほりぐっち、今どこにいる? 電話じゃなくてちゃんと会って話したい」
「今南大路の罫文堂だよ」
「行くからちょっと待ってて」
敦子は急いで電車に乗り、堀口の入る南大路の大きな本屋に向かった。
彼は書店入り口で待ってくれていて、息を切らして駆け寄ると、笑ってみせた。


