√番外編作品集

自分のケータイの着信の時間までは見ていなかったが、辿れば恐らく早朝の着信もあるに違いない。

「心配してもらって、こんなに申し訳ない気分になったの今日が初めて」

「やっぱり、潤は……敦子が、好きだよ。私が家に帰ってこなくても、潤は探してくれるとは思えないし」

敦子を励ましたかっただけなのに千恵はなぜか卑屈な言葉を並べていることに気づいた。

「千恵、それは──違うよ」

「あ、ごめんね、私がどうとか関係がないの。そうじゃないの」

「千恵がいなくなったら、私や河田君が探すよ! 潤が手伝わなかったら見損なうよ! 私がこんなことしたから、千恵まで不安にさせた。私はこんな風に自分の気持ちや、人の気持ちを測っちゃダメだったんだよ」

 敦子は息を吸って、強く吐いてから立ち上がった。

「私これから潤の家行ってくる」

 立ち上がった敦子を目線で追っていた千恵へ敦子は改めて頭を下げる。

「改めて千恵ごめん! 私卑怯な抜け駆けした。自分さえ良ければいいみたいな立ち回りして、一人で拗ねてた、かっこ悪いけど、これからも友達でいて」

 驚いて立ち上がる千恵の視線から逃れるように、敦子は階段を下り始める。

 千恵は急いで後を追いながら敦子の手を捕まえた。

 敦子が今すぐに千恵の回答を欲しがっていないことは分かっていたけれど、千恵の答えはもう出ていて、迷いはない。

「あのね! 私も、潤と映画観ること、敦子に秘密みたいになっちゃってごめんね。偶然だったけど、2人で映画見れて一緒にご飯食べれて嬉しかったのは事実。でも全然敦子の気持ち考えてなかった。傷つけてごめんね。ショックだったよね、ごめんね」

 慌てて紡いだ言葉に、敦子は「千恵ってごめんが多いよ」と笑った。