√番外編作品集

「好きだよ」

「うん」

「潤が好きで、好きでどうしようもない……」

「うん」

敦子がハンカチを握りしめた逆の手を伸ばすと、千恵は熱くなった手をぎゅっと握りしめる。同じ人を好きな人の体温は、どこか自分と似ている気がする。

千恵はそんなことを考えながら敦子の手を見つめた。

「堀口さんは、すっごいいい人なんだよ」

「うん、私もあんまりたくさん話してないけど、分かるよ」

「堀口さんが優しくて、優しくて、甘えちゃってる・・・・・・私、それが楽だって思ったら、気持ちを整理するためにも、潤を嫌いになるしかないのかなって考えてたりもした。でもダメだよね、どこかでいつも潤のこと見てる」

敦子の手から力が抜けていく。伏せていた顔がゆっくりあがり、涙を拭いていた手の甲で鼻を擦る。

「河田君に何かひどい事言われたりした?」

「存在がすでにひどいから、別に平気」

敦子の切り返しに、千恵は申し訳ないと思いつつ笑ってしまった。

そんなことを言いながらも、敦子が河田に優しいのは千恵は知ってる。

「あのね、潤今日……お休みなんだけど」

「うん」

「さっき河田君に聞いたの。潤は昨日……朝まで敦子を探してたんだって」