「え?」
珍しく黒沢潤は答えを聞き返していた。
「帰ってない?」
夜、千恵と散策を終えたあと潤は飯島家へ向かった。
時計の針が0時を過ぎているのは、潤が駅前の本屋で数学の問題集に没頭してしまったからだ。
「そうなの。朝出ていく時もなんかごにょごにょ言っていて……私はてっきり潤の家にでも遊びに行くのかと思ってた」
「いや、ウチには来てないけど……芙美に連絡もなしに?」
玄関先で話す2人の横顔は、目元がよく似ていた。身長は黒沢潤の方があって、親子のようにも見えた。
彼女は飯島敦子の母親で、潤にとっては叔母にあたる。
潤にとっては母親代わりでもあった。
「心配して電話したんだけどあの子電源落としてるみたいで。もしかして完徹カラオケとかやってるのかしら」
芙美はうーん、と心配そうに眉をしかめた。
理知的な瞳は黒沢潤より一回り大きい。本来なら高校生の子供を持つ年齢ではなかった。
再婚した旦那が自分より一回り年齢が上だったせいだった。そのせいで敦子と芙美、姉妹のような親子が完成してしまった。
「どんなに遅くなったり泊まったりしても、連絡は必ずしてくれてたんだけど…」
芙美の声がどんどんと落ち込んでいく。
それでも気丈な赴きだったが、明らかに不安の色が滲んでいた。
小さく震えていた手を、黒沢潤は取って握りしめた。
「探してくるから。心配しないで家で待ってて」
珍しく黒沢潤は答えを聞き返していた。
「帰ってない?」
夜、千恵と散策を終えたあと潤は飯島家へ向かった。
時計の針が0時を過ぎているのは、潤が駅前の本屋で数学の問題集に没頭してしまったからだ。
「そうなの。朝出ていく時もなんかごにょごにょ言っていて……私はてっきり潤の家にでも遊びに行くのかと思ってた」
「いや、ウチには来てないけど……芙美に連絡もなしに?」
玄関先で話す2人の横顔は、目元がよく似ていた。身長は黒沢潤の方があって、親子のようにも見えた。
彼女は飯島敦子の母親で、潤にとっては叔母にあたる。
潤にとっては母親代わりでもあった。
「心配して電話したんだけどあの子電源落としてるみたいで。もしかして完徹カラオケとかやってるのかしら」
芙美はうーん、と心配そうに眉をしかめた。
理知的な瞳は黒沢潤より一回り大きい。本来なら高校生の子供を持つ年齢ではなかった。
再婚した旦那が自分より一回り年齢が上だったせいだった。そのせいで敦子と芙美、姉妹のような親子が完成してしまった。
「どんなに遅くなったり泊まったりしても、連絡は必ずしてくれてたんだけど…」
芙美の声がどんどんと落ち込んでいく。
それでも気丈な赴きだったが、明らかに不安の色が滲んでいた。
小さく震えていた手を、黒沢潤は取って握りしめた。
「探してくるから。心配しないで家で待ってて」


